やっかいな友、1型糖尿病との暮らし

劇症1型糖尿病(Type1Diabetes)を罹患したおやじぃの日々日常です。

糖尿病ケトアシドーシス

NHK-TVの総合診療室ドクターGを観た。一日中吐き気が止まらない病名を突き止めろが今回のテーマだった。総合診療医は洛和会丸太町病院の上田剛士医師。

この先生がすごいと感じたのは、待合室で待っている患者を先生自らが呼び出し、性別と年齢しか得ていない患者情報から、該当する患者の当たりをつけ、呼び出されて動き出す患者を観察しながら想定される病名を絞りこんでいくのだ。吐き気だけで想定される病名は100近くある。その中で頭、耳、心臓、消化器など分野別に考え、救急総合診療科なので、患者の病歴等情報が無い中から、患者の歩く姿、目の動き、さらに問診をしながら消去法で病名を絞り込んでいくのだ。

腹部の触診では、患者のズボンのベルトに着目し、ベルトの穴が1つ分きつくなっているのを、ベルトの革の跡から発見し、ベルトの穴と穴の間隔は2.5センチ、1センチ1キログラムとして少なくとも体重は最近3キログラム程痩せていることも類推する。そして患者の呼吸から速く深い呼吸、吐いた息は果物のような香り、クルマウル呼吸と判断し、これらのことから糖尿病ケトアシドーシスであると絞り込み、血液検査等でそれを確定させた。

ドクターGの医療監修を務めている松村理司先生は、たくさんの病気を頭に描きながら出来るだけ早く正解に近づくことが大事だと解説していた。

糖尿病ケトアシドーシスインスリンが不足すると血液中のブドウ糖代謝できなくなり、高血糖状態になる。
そうすると体は代わりに脂肪を分解してエネルギーを作り出す。この時の副産物としてケトン体が血液中に急に増える、これが高ケトン血症で、血液が酸性になり(ケトアシドーシス)体に異常が発生する。その多くは1型糖尿病でみられるという。
症状は悪心、嘔吐、腹痛などの消化器の症状、脳浮腫、またグルコースが尿の中に大量に排泄されることで、体液や電解質が失われるので脱水状態になる。また、速く深い呼吸(クルマウル呼吸)がみられ、吐いた息は果物のような香りがする。この状態になると一刻も早い治療が必要になる。
脱水やアシドーシスの症状がひどい時には意識障害や昏睡にまで至り、処置が遅れると死に至ることもある。

13年前、突然嘔吐が始まり、それが続き1日経った翌日意識障害から昏睡になり救急車で運ばれたのは、正しくこの状態。
インスリンが生成される膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が何らかの身体の異常により破壊されインスリンが出なくなり、糖尿病ケトアシドーシスとなったのだ。
54歳だったこの時、劇症1型糖尿病と医師から告げられたこの病気、糖尿病ケトアシドーシスが始まりだったのだなと今頃はっきり自覚した次第だ。

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